ある人相見がこう言った「大変不思議なことじゃが、お前のようなボロ切れを纏ったやつに天下取りの相が見える」
当時秀吉はまだ十代。信長に仕える前で、美濃や駿河で職を転々としていた頃である。
当然このサルのようなやつが数十年後天下を取るなど誰も想像すらしていない。
ところがこの頃すでに秀吉は天下を取りえる人物であった。
冒頭に言葉に秀吉はこう言い返す。
「当たり前だ、そんな分かりきったことを言うな」と。
これこそが秀吉が天下を取れた理由なのである。
つまりこの頃から既に秀吉は天下を取るつもりでいて、それを公然と言いふらしていた。
そのように言い切ってしまうことで自らをその気にさせているのだ。
俺には天下は取れないよといってるやつの下に天下が転がってくるはずがない。
バカにされようとも、笑われようとも自らの志を言う。
すると自然と友は集まり、望みは本当に実現してしまうのだ。